公正証書遺言の作成にかかる費用(公証人手数料等)は約6~50万円!
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「公正証書遺言を作成したいけれど、公証人手数料がたくさんかかりそうで心配……。」
「公正証書遺言を作るのに、そもそも公証人手数料って取られるの?どれぐらいお金がかかるのか知りたい!」
初めて公正証書遺言を作成される方にとって、一体どれぐらいの公証人手数料がかかるのかは、とても気になるポイントですよね。
結論からお伝えすると、公正証書遺言を作成するのにかかる公証人手数料は、遺言書に記載する財産の評価額により、以下のように定められています。
公証役場へ支払う公正証書遺言の作成手数料 | |
---|---|
目的の価額 | 手数料 |
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
具体的な手数料算出の留意点
上記の基準を前提に、具体的に手数料を算出するには、次の点に留意が必要です。
財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめて、その価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して、当該遺言公正証書全体の手数料を算出します。
全体の財産が1億円以下のときは、上記(1)によって算出された手数料額に、1万1000円が加算されます。これを「遺言加算」といいます。
さらに、遺言公正証書は、通常、原本、正本及び謄本を各1部作成し、原本は、法律に基づき公証役場で保管し、正本及び謄本は、遺言者に交付するので、その手数料が必要になります。
すなわち、原本については、その枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書きの公正証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算されます。また、正本及び謄本の交付については、1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。
遺言者が、病気又は高齢等のために体力が弱り、公証役場に赴くことができず、公証人が、病院、御自宅、老人ホーム、介護施設等に赴いて、遺言公正証書を作成する場合には、上記(1)の手数料が50%加算されることがあるほか、公証人の日当と、現地までの交通費が掛かります。
公正証書遺言の作成費用の概要は、以上でほぼ御説明できたと思いますが、具体的に手数料の算定をする際には、上記以外の点が問題となる場合もあります。しかし、余り細かくなるので、それらについては、それが問題となる場合に、それぞれの公証役場で、御遠慮なくお尋ねください。
引用:日本公証人連合会のサイトより表を作成
ここで注意したいのは、上記の手数料は公正証書遺言1通に対してかかる手数料ではなく、財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにかかる手数料だという点です。さらに、全体の財産が1億円以下のときは、「1万1000円」が自動的に加算される点にも注意が必要です(遺言加算)。
財産の相続または遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめて、その価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して、当該遺言公正証書全体の手数料を算出します。
引用:日本公証人連合会
つまり、以下のような場合は公正証書遺言の作成手数料が5万1000円かかります。
「妻へ現金2000万円・子どもへ現金1000万円」という内容についての公正証書遺言を作成する場合
①妻へ2000万円の相続について、公正証書遺言を作成すると公証人手数料は、この部分で23000円
②子どもへ1000万円の相続について、公正証書遺言を作成すると公証人手数料はこの部分で17000円
③全体財産が1億円を下回るため、自動的に1万1000円が加算
合計 5万1000円 (※謄本等の作成手数料や病床執務手当加算を除く)
さらに、「証人2名」が必要であり、専門家に依頼した場合の日当交通費や友人・知人に頼んだ場合の謝礼として約10,000円と見積もり、公証役場へ提出する公的書類の取得手数料を考えると、公正証書遺言を作成するのにかかる費用は、およそ6万~8万円ほどになります。
ここでもし、公正証書遺言作成のサポートを専門家に依頼すると、専門家報酬としておよそ8万~40万円ほどかかりますので、総額で考えると、公正証書遺言の作成(プロのサポートも入る)には約14万~50万円ほどの費用がかかると考えておくとよいでしょう。。
但し、この金額は公正証書遺言を作成する遺言者ひとりひとりの作成状況や専門家に依頼するかどうか(誰に依頼するか)によって、大きく変わってきます。
一体どのような状況でいくらぐらい変わってくるのか、その詳細を今回の記事では解説していきます。
今回の記事でわかること |
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・公正証書遺言の作成にかかる手数料の説明 ・専門家に公正証書遺言を依頼した場合の報酬(費用) ・公正証書遺言の作成を専門家に頼むべき理由 |
この記事をお読みいただければ、公正証書遺言の作成にかかるほぼすべての手数料(費用)を知ることができるため、心の余裕を持って、遺言書作りに取り組んでいただることを期待しています。
ぜひ最後までお読みください。
1.公正証書遺言作成にかかる公証人手数料等の費用を全解説
冒頭でもお伝えしたように、公正証書遺言を作成する際にかかる公証人手数料等の費用は、遺言者ひとりひとりの状況によって変動します。
そのなかでも、公正証書遺言を作成する全員が必ず支払う手数料として挙げられるのが、公証役場へ支払う公正証書遺言の作成手数料である「公証人手数料」です。
この公証人手数料は、財産の相続または遺贈を受ける人ごとに評価される「財産額」によって細かく定められています。
詳しく見てみましょう。
公正証書遺言の作成手数料はいつ、どうやって支払うの?
原則として、公正証書遺言の正本等が交付される時(=作成完了後)に「現金」で支払います。
※遺言シェルパ名古屋を運営する行政書士法人エベレストでは、当社が立て替えてお支払いすることにより、クレジットカードや銀行振り込みでの支払いにも対応しております(当法人が支援した場合に限ります)。
1-1.【共通】公正証書遺言の作成にかかる「公証人手数料」
「公正証書遺言」とは、遺言を作成したい方が公証役場へ足を運び、公証人を介して遺言書を作成する方法です。
作成した遺言書を公証役場で保管してもらえる他、公証人を通じて遺言書を作成するため、法令上の要件をきちんと満たした遺言書を作成でき、遺言書の内容が無効になりにくいというメリットがあります。
但し「公正証書遺言」の作成には、自筆証書遺言とは異なり、以下のように公証役場側へ支払う手数料(公証人手数料)が発生します。
公証役場へ支払う公正証書遺言の作成手数料 | |
---|---|
目的の価額 | 手数料 |
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
引用:日本公証人連合会のサイトより表を作成
上記をご覧いただくとわかるように、公証役場へ支払う手数料は「目的の価額」、つまり財産の相続もしくは遺贈を受ける人ごとに計算される「評価額」によって大きく変動します。
財産の相続または遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめて、その価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して、当該遺言公正証書全体の手数料を算出します。
引用:日本公証人連合会
1つ例を挙げてみましょう。
以下のような場合は公正証書遺言の作成手数料が5万1000円かかります。
「妻へ現金2000万円・子どもへ現金1000万円」という内容についての公正証書遺言を作成する場合(※他の財産や遺言書への記載はない場合)
①妻へ2000万円の相続について、公正証書遺言を作成すると公証人手数料は、この部分で23000円
②子どもへ1000万円の相続について、公正証書遺言を作成すると公証人手数料はこの部分で17000円
③全体財産が1億円を下回るため、自動的に1万1000円が加算
合計 5万1000円 (※謄本等の作成手数料や病床執務手当加算を除く)
さらに、「公証人手数料」ではございませんが、「証人2名」が必要であり、専門家に依頼した場合の日当交通費や友人・知人に頼んだ場合の謝礼として約10,000円と見積もり、公証役場へ提出する公的書類の取得手数料を考えると、公正証書遺言を作成するのにかかる費用は、およそ6万~8万円ほどになります。
この公正証書遺言の作成手数料は、遺言者全員が公証役場(公証人)に対して支払わなければならない必須の費用です。
1-2.【該当者のみ】原本が3枚を超える場合の手数料
「公正証書遺言」の原本が3枚を超える場合は、追加で手数料がかかります。
日本公証人連合会のサイトでは、以下のように説明しています。
原本については、その枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書きの公正証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算されます。
引用:日本公証人連合会
つまり、公正証書遺言の原本が3枚を超える時は、4枚目から1枚ごとに250円の手数料がかかってきます(※実務においては、ほとんどが法務省令で定める「横書き」の公正証書となります)。
1-3.【共通(全員)】謄本・正本の交付手数料
公正証書遺言を作成する際は、以下3種類の公正証書が作られます。
・遺言書の「原本」
・遺言書の「謄本」
・遺言書の「正本」
このうち、「謄本」と「正本」の交付手数料がかかります。
交付手数料は、「1枚につき」250円となります。
ちなみに、公正証書遺言の原本は公証役場にて保管されますが、謄本と正本は原則として遺言者が保管することになります。
謄本・正本も1枚あたりの手数料が250円であり、枚数が多いとそこそこの金額に積み上がってしまうことも考えられます。あらかじめ交付手数料をしっかり予算に組み込んでおきましょう。
1-4.【該当者のみ】公証人の日当・交通費・作成手数料の増額(病床執務手当)
公証人の日当・交通費・公正証書作成手数料の増額があります。
1つずつ見てみましょう。
公証人の日当
公証人の日当が別途かかる場合があります。
遺言者が、病気又は高齢等のために体力が弱り、公証役場に赴くことができず、公証人が、病院、御自宅、老人ホーム、介護施設等に赴いて、遺言公正証書を作成する場合には、上記(1)の手数料が50%加算されることがあるほか、公証人の日当と、現地までの交通費が掛かります。
引用:日本公証人連合会
例えば、依頼者が体調不良で公証役場まで足を運べない場合、公証人が自宅や病院、施設などまで出張で来ることが可能です。
公証人の日当は、1日2万円、4時間まで1万円と定められています。
公証人の交通費
依頼者が公証役場まで足を運べない場合、公証人が指定の場所へ訪問します。
その際にかかった交通費は、依頼者(遺言者)が負担します。
作成手数料の増額
公証人が出張した上で、公正証書遺言を作成した場合、前述した「公証役場へ支払う公正証書遺言の作成手数料」のうち、50%が加算されます。
つまり公正証書遺言の作成手数料は、「1.5倍になる」ことになります(少し高く感じますね)。
1-5.【該当者のみ】証人2名の日当・交通費
証人2名への日当・交通費も原則として必要です。
公正証書遺言は、証人2名を立てて進めていきますが、証人になる方(専門家等)に日当・交通費を支払う必要があります。
知人や友人などへ依頼する場合は、数千円~1万円程度の謝礼が妥当でしょう(ご友人であれば、本人が善意で「タダで良いよ」と言う場合もあると思いますが、お言葉に甘えるかどうかは関係性次第ですね)。
一方、証人2名を行政書士や弁護士などの専門家やその事務所の職員に依頼した場合は、1名あたり5,000円から15,000円ほどの費用が相場でかかります。
当然、一般の方に依頼するよりも費用がかかりますので、もしどうしても専門家に証人を依頼したい場合は、その分の費用も含めて予算を考えておくといいでしょう。
ちなみに、行政書士法人エベレストの場合は、証人2名で税込11,000円(+往復交通費実費)です。証人立ち合いだけの依頼も承ります。
1-6.【該当者】公的書類が必要になった場合の取得費用
公正証書遺言の作成にあたっては、公証役場に対して、以下のような公的書類を提出する必要があります。
・遺言者自身の戸籍謄本(※コピー可)
・印鑑証明書(原本1部を提出)
・受遺者の住民票の写し(※相手方特定のため、コピー可)
・不動産の登記簿謄本(全部履歴事項証明書)(※コピー可)
・直近年度の固定資産税の課税明細書又は固定資産評価証明書 など
上記の公的書類を取得するには、それぞれ下記の通り取得費用がかかります。
公的書類 | 取得費用(1通あたり) |
戸籍謄本 | 原則450円 |
印鑑証明書 | 原則300円 |
住民票の写し | 原則300円 |
不動産の登記簿謄本 | 原則600円 |
固定資産税の課税明細書 もしくは固定資産評価証明書 | 原則330円 |
上記書類は、公正証書遺言を作成したい方がすべて用意するわけではありません。
申請者それぞれのケースに応じて、必要書類が分かれてきますので、ご自身のケースはどうなのか調べてみる必要があります。
いずれにしても、書類を取得するにはそれぞれ費用がかかりますし、郵送で取寄せる場合は、往復切手代も発生しますので、上図を参考にして余裕のある予算を立ててみてください。
2.公正証書遺言の作成を専門家に依頼した場合の手数料(報酬)
「公正証書遺言」の作成について不安を感じ、行政書士や弁護士などの「専門家」に任せたい!と思っている方は多いかもしれませんね。
確かに「公正証書遺言」を作成するにあたり、
・現在自分がどのような財産を持っているのか
・財産を誰に、どうやって相続させるのか
・相続税の負担や遺留分割合も考慮し、どのような割合で相続させるのか
といった内容を自力で正確に把握するのは大変難しいです。
加えて、「公正証書遺言」の作成に必要な公的書類を一通り揃えようと思っても、1人ですべて行うには相当な負担と時間がかかってしまうでしょう。
パソコン操作に慣れていて、健康上もなんら問題がなく、気軽に関係各所へ出かけられるなら別ですが、遺言者の多くはそうではありません。
こんな時心強いのは、行政手続きや書類作成の専門家である「行政書士」や訴訟や法律全般の専門家である「弁護士」などの国家資格者の存在です。
この章では、こうした専門家に依頼した場合の費用目安についてご紹介していきます。
専門家に依頼するといくらぐらいかかるのか、ぜひ参考にしてみてくださいね。
2-1.行政手続きや書類作成の専門家「行政書士」へ依頼する場合
行政手続きや書類作成の専門家である「行政書士」に支援を依頼した場合の費用相場は、下記の通りです。
行政書士の報酬相場 8万~20万円程度(消費税・実費別途)
遺言者に万が一のことがあった場合における、相続手続きについてのご相談や財産目録の作成についても支援が期待できます。
揉める可能性もないし、弁護士へ相談するのは気が引けるという場合の相談先の候補にすると良いでしょう。
なお、行政書士は全国に約5万人いますが、どの行政書士も遺言書や相続手続きに詳しいわけではありませんので、行政書士の中でも、「誰に相談するか」は注意が必要です。
ちなみに、行政書士法人エベレストでは、証人2名の日当交通費のみで、原則として遺言作成時の報酬は「0円」で承っています。
ご相談ももちろん無料ですので、全国対応も可能ですので、お気軽にご相談下さい。
2-2.訴訟や法律全般の専門家「弁護士」へ依頼する場合
一方、訴訟や法律全般の専門家である「弁護士」に支援を依頼した場合の費用相場は、下記の通りです。
弁護士の報酬相場 15万~30万円程度(消費税・実費別途)
もはや説明不要かもしれませんが、法律のプロとして、遺言者の味方になってくれるであろう心強い専門家です。
行政書士とは異なり、 相続人間での係争状態が明らかな場合であっても対応が可能なのと、訴訟までも対応ができる唯一の専門家です。
もちろん弁護士や地域によって差はあるものの、「行政書士」と比べると、費用はやや高めとなっています。
2-3.信託銀行(金融機関)へ相談する場合
実際に対応するのはサラリーマンである「行員」が対応するにすぎないため、「専門家」という表現が適切かはわかりませんが、「信託銀行」が提供する「遺言信託」を利用するのも1つの選択肢です。
遺言書の正本・謄本を預かってくれますが、年間1万円程度の費用が請求される場合があります。作成時の支援報酬も高く、「富裕層向けの資産管理サービス」の一環であるイメージです。
遺言作成のみならず、資産管理や資産運用全般の相談に乗ってもらえる点や信託銀行という絶大な信頼があるのは大きな利点ですが、遺言執行時の報酬もかなり高額であり、担当者は異動や転勤が付きものですし、実際に信託銀行で作成された方からの書き直しの相談も珍しくないため、個人的にはあまりお勧めはしていません。
「遺言信託」の料金相場 30万~50万円程度(消費税・実費別途)
3.公正証書遺言は基本的には専門家に頼むのがお勧めな3つの理由
前章でも述べたように、公正証書遺言の作成準備は、ご自身で行おうと思ってもとても時間と手間のかかるものです。ましてや財産把握や相続の割合、それに伴った公的書類の用意ともなると、進め方に間違いがないか、とても不安で心細い面もあることでしょう。
そんな時頼りになるのが、専門家(行政書士・弁護士・税理士など)です。
それぞれ専門分野は異なりますが、どの専門家も法的な専門知識を持って依頼者の相続内容について対応してくれます。
この章では、そんな専門家に公正証書遺言の作成サポートを依頼すべき理由について、詳しくお伝えしていきましょう。
3-1.万が一の際に、遺言執行まで依頼できる
専門家に依頼する大きな利点の1つは、遺言執行(相続手続き)を任せることができ、相続手続きが円滑に進むように遺言内容を整理・整頓してくれることです。
遺言書には、依頼者の保有する財産の内容や、その財産をどの相続人にどれぐらいの割合で遺贈するのかなど、遺産に関する詳細が記されますが、その内容にミスや不備があった場合、遺言者の遺言が実現しないリスクがあります(相続手続き上の困難が生じてしまう)。
こうした事態を避けるためにも、あらかじめ専門家に相談しながら遺言内容を整理していくことをお勧めします。
遺言内容のミスや不備がなくなることで、スムーズな相続が行われ、遺された家族たちが戸惑うこともなくなるでしょう。
なお、遺言内容そのものには専門家は関与致しません(長男にあげなさい、次男にあげなさい、等の助言をすることは、まともな専門家であれば、絶対にありません)。
3-2.必要な公的書類の収集を代行してくれる
別料金か否かはさておき、必要な公的書類の収集を代わりに行ってくれます。
公正証書遺言を作成する際、必要な公的書類を公証役場へ提出する必要があります。
例えば必要書類とは、以下のようなものを指します。
・遺言者自身の戸籍謄本(※コピー可)
・印鑑証明書(原本1部を提出)
・受遺者の住民票の写し(※相手方特定のため、コピー可)
・不動産の登記簿謄本(全部履歴事項証明書)(※コピー可)
・直近年度の固定資産税の課税明細書納税通知書又は固定資産評価証明書 など
上記書類は、依頼者(遺言者)の本人確認書類であったり、遺言内容に沿った書類だったり様々なものがあり、遺言内容によって必要になってくる書類も異なります。
こうした書類をすべて依頼者が取得しようとすると、大変な手間がかかります。
その点、専門家に書類収集を代わりに依頼しておけば、ミスなく必要書類を入手してくれるので、依頼者の負担も大きく減るでしょう。
なお、制度上「印鑑証明書」だけは、本人による取得が前提であり、専門家による委任状を用いた代理取得が不可能です(※「印鑑カード」を預かることで、代行取得ができないこともないですが、預かることによるリスクもあるため、通常は預かることはありません)。
3-3.公正証書役場(公証人)との打ち合わせを代行してくれる
公正証書役場(公証人)との打ち合わせを代行してくれます。
公正証書遺言の作成の流れは、大まかに下記のようになります。
<大まかな公正証書遺言作成の流れ>
①遺言者が有する財産の洗い出し(資料収集)
▼
②遺産の分配方法の決定(遺言書案の決定)
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③公証役場への相談開始(※初回相談で「訪問」する場合は、相談の事前予約)
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④公証人から提示された「遺言書(案)」の最終確認及び遺言作成日の事前予約
▼
※証人2名の立ち合いが必要なため、証人2名の都合も合わせる必要があります。
⑤【遺言作成当日】公証人から読み上げられた内容を確認し、署名捺印、手数料支払い
この作成過程における、①~④(※遺言内容の最終確認は当然ながら遺言者本人が実施します)を代行してもらうことが可能です。
つまり、端的に言えば「遺言作成日当日に、公証人と会って、事前に最終確認した書面に署名捺印するだけ」で済むのです。
4.どの専門家に公正証書遺言の作成支援を相談・依頼すべきか
公正証書遺言の作成を専門家に依頼すべき理由がわかったところで、一体どの専門家に任せればいいのか悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。
行政書士、弁護士、税理士、信託銀行(遺言信託)などそれぞれの専門家や金融機関は、専門家とはいえ、職務内容の違いがあります。
ここではどのようなケースの場合、どの専門家や金融機関に依頼すればいいのかについて詳しく見ていきましょう。
4-1.相続で揉めそうな時は「弁護士」
遺産相続で相続人同士の争いが懸念されるのであれば、弁護士にお任せするのがいいでしょう。
相続トラブルは、「裁判」にまで発展してしまうことも十分に考えられます。
その際、豊富な法的知識を持ってトラブルに対応し、訴訟代理人としても交渉を矢面に立って進めていける窓口が必要になりますが、これは「弁護士」にしか対応が出来ないのです。
もしあなたに万が一のことがあった場合、相続人たちの間で、相続争いや複雑なトラブルが発生する可能性があるのでしたら、迷わず「弁護士」に相談、依頼するようにしましょう。
4-2.しっかりとした「相続税対策」を希望する場合は「税理士」への相談が不可欠
もしあなたが会社経営者や大きな資産を抱えているのであれば、税理士への依頼がベストです。
税理士に依頼することで、大きくのしかかる相続税に対し、しっかりと適法な対策を立てていくことができます。
一般の方でも、公正証書遺言を作成するにあたり、税務上のトラブルやお困りごとがある場合には、税理士に相談することをお勧めします。
なお、金融機関に相談しても、相続税の具体的な相談対応ができるわけではなく、提携する税理士を紹介してくれるに過ぎません。
そのため、金融機関経由で税理士に相談しても、直接相談しても変わりませんので、個人的には直接税理士を探されるのがお勧めです。
4-3.基本的には「行政書士」に依頼するのが一番リーズナブル
行政書士は、個々の事務所によって専門性の違いや経験の差はあるものの、遺産分割協議書の作成や遺産整理業務を業務範囲の1つとしています。
また、日常的に発生する業務として公的な必要書類の収集代行などにも長けているため、遺言作成にあたり、煩雑な書類収集作業に悩まされている方には、ぜひ「行政書士」に依頼するといいでしょう。
例えば、遺言作成には「誰が相続人になるのか」という相続人特定が必要になりますが、相続人を正確に特定するためには、「遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本」が必要になります。
ここで大変なのは、もし兄弟姉妹や甥姪が推定相続人となる場合は、「遺言者自身の生まれてから現在までの戸籍謄本や除籍謄本等」が必要とされるため、例えば遺言者自身が複数回結婚していたり、本籍地を変更(転籍)したりするたびに、その時に編成された戸籍謄本等が必要になる点です。
本記事執筆時点においては、基本的に戸籍謄本等は、本籍地のある市区町村役場でしか取得できないため、遺言者によってはあちらこちらから戸籍を集めなくてはならないことも考えられます。
その点「行政書士」に依頼すれば、このような戸籍謄本等の収集作業にも慣れているため、依頼者に負担をかけることなく、手続きをスムーズに進めてくれるので、お勧めです。
行政書士法人エベレストでは、「遺言執行者」として指定頂くことも可能なので、遺言者に万が一のことがあってからの相続手続きについてもお任せ頂くことが可能です。
5.公正証書遺言の作成でお困りの場合は、遺言シェルパ名古屋を運営する「行政書士法人エベレスト」までお気軽にご相談ください!
公正証書遺言の作成について、記載ミスや二度手間、不備を出すことなく正確に行うためには、予め「専門家」に相談しながら進めた方がいいでしょう。
遺言シェルパ名古屋を運営する「行政書士法人エベレスト」では、行政書士(野村篤司)が個人単位でも2,000件以上の相続手続き相談や遺言書作成のご相談を受け対応してきた実績があります。
公正証書遺言の作成についてもお問い合わせも多くいただいており、お一人お一人に合わせたアドバイスを親身にさせていただけます。
さらに、公正証書遺言に関しては、以下の面で迅速なサポートをさせていただけます。
5-1.公正証書遺言の「付言」についても一緒に考え、助言します
公正証書遺言への記載内容のうち、「付言」について、遺言者様と共に考え助言させていただきます。
遺言書は、当たり前ですが、「遺言者の真意」が反映されていなくてはならないため、専門家として遺言内容そのものの助言は難しいです。
しかし、法的効力のない家族へのメッセージ等を記載できる「付言」部分については、どういった表現を書いたら伝わるのか、残されたご家族の心が温かくなるのかについて、一緒になって考えます。
この部分をおろそかにする専門家は少なくありませんが、当法人では、付言をどう書き残すのか、遺言者の「心情面」をも大事にしています。
5-2.必要な公的書類関係をを代わりに収集します
公正証書遺言の作成に必要な公的書類の収集作業を代行します。
公正証書遺言で必要になる書類は、本人確認書類(遺言者本人による印鑑証明書の取得)から始まり、不動産関連の公的書類や遺言者と相続人の続き柄を示す戸籍謄本など、多くの書類が必要になります。
これらの書類を間違いなく入手するためには、書類収集に長けている行政書士が活躍します。
すべての書類を集めるのは、大変な手間と時間がかかりますが、プロにお任せいただければしっかりと用意させていただきます。
※なお書類の取得にあたっては、遺言者ご本人の委任状を頂きます。
※こちらはオプションサービスとして、任意でご依頼いただけます。印鑑証明書の取得代行は致しておりませんので、予めご了承下さい。
5-3.公証役場(公証人)との打ち合わせや書類提出を代行します
公証役場との打ち合わせや書類提出を代行します。
原則、依頼者たる遺言者様のお住まいと最も近い公証役場(公証人)とのやりとりをさせていただきます。
公正証書作成の当日までは、遺言内容の伝達や証人2名の手配、や財産関係資料の提出などの様々なステップがありますが、全てお任せください。
遺言者ご本人は、遺言内容の決定と印鑑証明書の取得、そして遺言書を作成する当日のみ公証役場へおいでいただければ構いませので、作成までの負担が大きく軽減されます。
遺言者の貴重な時間を確保し、少しでも負担にならないようお手伝いいたします。
5-4.「証人」として指定していただけます
「証人」として指定していただけます。
公正証書遺言を作成する際は、公証人と証人2名の前で、遺言者が遺言内容を口頭で伝えていきます(※その場で公証人が耳で聞いて筆記して作成するわけではなく、事前に作ったものを当日読み上げるのが遺言に係る公証実務です)。
その際、証人として2名が立ち会う必要がありますが、証人を探せない方や手配できない方に向けて、行政書士と当法人の行政書士補助者が「証人2名」としてその場に参加させていただけます。
もちろん証人には、「公正証書遺言」の作成過程で知り得た情報について、きちんと守秘義務が課されていますので、ご安心下さい。
5-5.「遺言執行者」として指定していただけます
別記事で紹介しておりますが、遺言者の死後、「遺言書」の内容を確実に実現するためには、その役割を担う「遺言執行者」を予め遺言書内で指定しておくことが得策です。
当法人は、この遺言執行者として指定頂くことを承っており、遺言作成のみならず、遺言書の内容の実現まで、中長期にわたってしっかりと支援させて頂きます。
6.まとめ
今回は、公正証書遺言の作成にかかる公証人手数料等の費用についてご紹介してきました。
公正証書遺言を作る際には、公証役場へ支払う手数料があるとお伝えしましたが、手数料は遺言書に記載される額によって変化します。
公証役場へ支払う公正証書遺言の作成手数料 | |
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目的の価額 | 手数料 |
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
引用:日本公証人連合会のサイトより表を作成
さらに、以下の場合は別途手数料が加算されますので、注意が必要です。
・公正証書遺言の原本が3枚を超えるケース
・収集すべき公的書類の取得費用や郵送代
・出張(病床執務)を依頼する場合の公証人や証人2名へ支払う日当や交通費 など
また、もし公正証書遺言の作成を行政書士や弁護士などの専門家に依頼した場合、専門家へ支払う手数料(専門家報酬)も発生します。
そのため、公正証書遺言の作成に専門家を交えることを予定されている場合は、ご予算に余裕を持たせて検討してみましょう。
今回の記事を通して、公正証書遺言の作成に係るあなたの悩みが解決できることを願っています。